先輩の彼女
「あまり、無理するなよ。」

間野さんが、またもや優しい言葉を、掛けてくれる。

「はい。有り難うございます、先輩。」

やっぱり間野さんの顔を見れなかったけれど、素直に嬉しいのは、変わらない。


私は廊下に出て、倉庫の中で時間を潰そうと考えた。

「あれ?久実さん?」

ドアに手を掛けて、知った顔に嬉しくなった。

「谷岡君!?」

「どうしたんですか?こんなところで。」

「いや、勉強?谷岡君は?」

「俺は、山田さんの用で。」

まだ大学生の谷岡君は、社員の用事でいろいろお使いに行かされたり、調べものをさせられたりと、大変だ。


「だけどよかった。谷岡君が一緒で。」

私は倉庫に入って、電気をつけた。

「えっ?なんでですか?」

「だって、倉庫って何か“出る”って感じしない?」

私がそう言うと、倉庫の蛍光灯が、チカチカした。

「……そうですね。」

谷岡君に言われると、もっと不気味さが増すよ。
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