涙とキスと隣の泣き虫



「だって、キ、キスは好きな人にするものなんだよ」

「そんなの誰が決めたんだよ?」

「えっ……それは、」

「答えられないんじゃん」

「……っ」


ただ、はじめての相手だから好意をインプットされてしまっただけかもしれない。


「でも、リキの唇は好きだよ」

「え?」

リキの頬に右手を当てて距離を縮めて目を閉じれば、甘くてとろけるようなキスが待っている。



刷り込みのヒヨコでも何でもいい。

リキが涙を流すなら、涙が止むまで綺麗に舐めてあげなくちゃ。




だってあたしは、この馬鹿で可愛い泣き虫くんに恋してるんだから──。






ー涙とキスと泣き虫ー
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