涙とキスと隣の泣き虫
「で?」
「な、何が?」
教室へ向かう途中で、隣を歩くリキに目を向ける。
私が女子にしては背が高い方だからなのだけど、丁度目線が同じ位の高さになって、リキの目が不自然に泳いだのがよーく分かった。
「さっきの人。好きなんでしょ?」
ケロッと言ってのければ、リキは茹で上がるように全身が赤くなっていく。
「ち、違ッ……」
「大丈夫、大丈夫。誰にも言わないから」
「違うってば……」
「そうか、そうかー。リキの初恋かぁ」
「は、初恋?」
「皆驚くだろうなぁ」
「ハ、ハナちゃん!」
私の脅迫紛いの言葉に、リキは顔を真っ赤にさせたり青くさせたり忙しそうだけど。
「絶対、絶対に、誰にも言わないでよ……」
とうとう観念した様で小さく頷いた。