涙とキスと隣の泣き虫
一瞬でも動揺してしまった自分に驚いて、慌ててリキの唇から手を離して口を開く。
「そ、想像した事位あるでしょ?」
「な、無いよ!」
「リキだってさぁ。男なんだからその先だって……」
「ハナちゃん!!」
ごまかす様に続けた私の止まらないトークに対して、リキがありったけの叫び声をあげた。
「あはは!リキ、真っ赤だし」
「もー、やめてよ」
「マジでうけるんだけど」
「ほ、ほんとに憧れとか、そんなのだからっ」
教室へ向かう途中、真っ赤な顔の涙目になるリキに顔を向ける。でもやっぱり、リキはリキで変わらなくて、ほッと胸を撫で下ろした。