涙とキスと隣の泣き虫



小学校の入学式の次の日──。


「うぇッ……お母さーん」

リキは母親が恋しくて泣いていた。

当時、隣だった私のクラスまでにも泣き声は聞こえてきた。
"泣かずに小学校に通えるようになるまで3ヶ月かかった"のは、同級生の間では有名な話。


小学5年生で、リキとはじめて同じクラスになった。


「コッコ……ッ、うッ、うッ」

当時、クラスで飼っていたがウサギが死んでしまった事があった。

もちろんクラスの皆も悲しくて、その時は一緒に涙を流した。
でも、リキはその後ウサギ小屋を見る度に1ヶ月泣き続ける事となる。それを見かねた担任の先生がウサギ小屋を撤去すると、またそれで泣いてしまう始末だった。



中学校に上がってからも、リキは泣き続けた。


授業中、先生に指されて答えられなかった時。
テストが時間内に終わらなかった時。

リキは本当にどうしようもなく情けない奴だと思う。



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