涙とキスと隣の泣き虫
「あ!」
「どうしたの?ハナちゃん」
教室に戻る廊下で私の色気の無い声が響けば、少し後ろを歩いていたリキが小走りで私の横に並んだ。
「先輩の夏休みの予定聞くの忘れた」
勉強の励みにしようと思って、メールじゃなくて直接聞きたかったのに。
一端足を止めてUターンして、再び先輩のクラスの方へ足を踏み進めれば
「ハナちゃん、待ってよ」
なんてリキの焦った声が、後ろから聞こえた気がした。