涙とキスと隣の泣き虫
そして、高校1年の春──。
深澤 利樹(リキ)は、私 花本 愛(アイ)の隣の席で涙を流している。
中学校が一緒じゃ無かったクラスメート達は、泣いているコイツを見てドン引き状態。
私だって小中と同じで隣の席じゃ無かったら、距離を置きたい位だ。
理由を聞く気にもならないけど、無視をするのも気がひける私は仕方なく口を開く。
「ね、ねぇ。リキ。いい加減泣き止もうよ」
「ハ、ハナちゃん……」
"ハナちゃん"
やめて欲しい小学生からのアダ名が、鼻水と共に微妙な空気の教室に響いた。