涙とキスと隣の泣き虫
私の手を引いたのは多分リキだ。
先輩達が席を立つ音が聞こえて、ドアが開けられる前に私達は何とか階段の踊り場まで移動してきた。
多分、先輩達が下りてきて見付かったらまずいという理由。
そのまま屋上の手前の踊り場のスペースに、ペタリと座り込んだ。
「ハナちゃん……」
私の目線に合わせて、リキはしゃがみ込む。
そして、眉を下げて心配そうに私へ視線を落とす。
"簡単にさせてくれたしね"
優しくて穏やかな先輩の台詞が耳に残る。
色んな言葉が頭の中を行き交って、ぐちゃぐちゃで、どうしたらいいか分からないのに。
ふと、顔を上げればキラキラと光る何かが視界に入った。