涙とキスと隣の泣き虫
それはリキの涙で、男子にしては大きめな瞳からは、ポロポロと大粒な滴が流れ落ちる。
いつも近くで見ていた筈なのに。
リキは、なんて綺麗な涙を流すんだろう。
透き通る様な、輝きに満ちた水滴がリキの頬を伝っていくのが視界に入った。
「私のために、泣いてくれてるの?」
窓から入る風にリキの猫っ毛がふわふわと揺れる。
曇りの無い瞳で私を見つめるリキの身体は小刻みに震えていて、本当に小動物みたい。
私なんかのために子供の様に、涙を流してくれるリキに胸が締め付けられる。
「ね、キスすると泣き止むって本当かな?」
ゆっくりと私とリキの距離が縮まった。