涙とキスと隣の泣き虫
夏休み
「はぁ?先輩と別れたぁ?」
昼休みの空き教室に、マリの素っ頓狂な声が響いた。
「そ、そんでリキにちゅーしただと?」
マリとは中学からの付き合いで、リキの事も同じ中学だからよく知っている。
目はこれでもかって開かれて、怖い位な勢いで私に視線を送った。けど、マリのリアクションが激しいのはいつもの事だから慣れている。
「まぁ……」
私は軽く首を傾げてからジュースのストローを啜る。
「な、なんで……?」
「さぁ、なんとなく?」
「いや、まずさ。えっとあの」
「マリ、落ち着いて」
「えーと、まずさ。アイは何で先輩と別れたの?」
「……」
「……」
「えー、なんとなく?」
マリに先輩達が話していた内容なんて言えなくて、誤魔化す様にヘラッと笑って見せた。