涙とキスと隣の泣き虫



あの日、先輩にメールで私から別れを告げた。


"先輩、突然ですが私と別れてください"

一切デコらずそう送ったら、流石に電話がかかってきたけど出る気力も無かった。
メールでも理由を聞かれて、何通かメールのやり取りはしたものの、


"じゃぁ、先輩後輩としてよろしく"

最後にはあっさりと別れを認めてくれた。

だから、やっぱり先輩にとって私の価値なんて大したこと無かったんだと。先輩の"あの"発言は本音だったのだと頭の悪い私でも理解出来た。

それに、不思議と私の中に未練は残っていなかった。
もしかしたら、昨日の現場に居合わせて気付いてしまったのかもしれない。恋をしている自分に寄っていただけで、夢から覚めてしまっただけかもしれない事を。



きっと、私も先輩の事をそんなに好きじゃなかったんだ──。


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