涙とキスと隣の泣き虫
「え、何?お勉強を教えて貰ってリキを好きになっちゃったとかー?」
なんて、マリは楽しそうにニヤニヤしながら言葉を弾かせた。
いつもは"ハナちゃんハナちゃん"と言っては近付いてくるのに、私の半径1m以内にも寄って来ない。
リキの反応が面白いのも本当だけど、ほんのちょっとだけ苛々したのも事実。
「なわけ無いじゃん!だってリキだよ?」
溜め息交じりに言葉を吐けば、
「そうだけど、何でキスなんて……」
マリが疑わしい目付きで私を見てくるから、少し厄介だ。
「や、なんかさー。リキの涙をね、見てたらさ」
「いつも隣で見てんじゃん」
「うん。でも、あの時はなんか綺麗に見えてさ。舐めてみたくなっちゃってさ」
「舐めっ!?……えー、アイの変態」
うん。マリの言うことは間違っていないと思う。