涙とキスと隣の泣き虫
終業式が終われば、長い夏休みの補習が始まった。
補習といっても配られたプリントをやって提出するだけの簡単なもの。
教室の窓の外を見ると、運動部の練習がぼんやりと視界に入って、夏の暑い陽射しが教室の中にジリジリと入り込んでくる。
暑い夏の日にわざわざ制服を着て学校へ向かうのは面倒だ。
だけど、夏休みに補習を入れたくなかった理由も今となっては無くなってしまったみだいだし。
それに数学の1教科だけだから、補習は1日1時間ですぐに帰れる。
なんか面倒だけど、どうでもいいや。と、小さな溜め息が落ちる。
「さ、帰ろ」
時間が来て荷物を鞄に詰めて学校の校門の外に出たところで、
「アイ、久し振り」
聞きなれた筈の声が耳に入った。