涙とキスと隣の泣き虫



「ふッざけんな!」

室内に私の大きな声が落とされれば、室内が殺伐とした雰囲気に飲み込まれた。


それでも、このカラオケBOXの中に男の人が3人に女1人という状況で、身の危険を感じた私の頭は正常で至って冷静な方だと思う。


「あんま大きな声出すんじゃ……」

髪の長い方が、私を後ろから抑え付けて口を塞ごうとするからその手に思い切り噛みつけた。


「いッ……」

男に一瞬の隙が出来て、その瞬間に頭を上に振り上げる。室内に鈍い音が響き渡って私の頭部にも鈍痛が走った。


「な、なんだよこの女…」

なんて動揺するもう1人の茶髪の男の急所を蹴り上げてやれば、


「ひいぃッ……!」

股間を押さえながら床の上にうずくまって、声にならない情けない悲鳴を上げる。
くるりと後ろを振り向いて、私の視界に入ったのは目をギョッと丸くして驚く先輩の姿だった。


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