涙とキスと隣の泣き虫
そのままカウンターを通過してカラオケBOXの外へ足を踏み出せば、一気に夏の暑さに襲われて日射しが痛い位に肌に突き刺さる。
一体、何が起きたのだろうか。
私は本当に馬鹿だ。
あの時、先輩の教室で聞いていた筈なのに。
──簡単にさせてくれたしね
頭がくらくらとする。
あの言葉が嘘だったらいいのにと、心のどこかでは信じたかった。
ただ、先輩は私の事は好きな訳じゃなかったんだ。その事実だけが胸に突き刺さる。
私は本当に素直じゃなくて可愛くないから。
こんな時でさえ、涙1つ溢れないーー。