涙とキスと隣の泣き虫
「アイ、おっそーい」
先輩と行ったカラオケBOXから歩いて約10分。
寒い位に冷房のきいているファミレスに、マリの甲高い声が耳に響いた。
「アイ、制服で来たんだー」
「中学卒業以来じゃん」
マリの周りには中学の頃の男女のメンバーが集まっていた。
店内には馬鹿みたいな笑い声が響き渡る。
端の方にはリキの姿もあって、仲の良かった男子と何やら盛り上がっている様子で、どうやらプチ同窓会状態になっているみたいだ。
「補習1時間だけなのに、何やってたのよー」
マリの隣に座れば、さっそく憎まれ口をたたいてくるから。
「あー、実はさ……」
「何ー?どうしたの?」
少しだけ俯いた私に対し、マリは下から覗き込む様に視線を向けてきた。けど本当の事なんて言えなくて唇をぐっと噛み締めた。