涙とキスと隣の泣き虫
「あーそういえば、アイ彼氏出来たんだっけ?」
何も知らない同級生にそんな事を言われる。
「あー…」
「別れちゃったんだよねー」
歯切れの悪い返事を濁せば、隣のマリが笑い飛ばしてくれるから助かった。
「あの子はまだ彼氏出来ないのー?」
「アイツに彼女出来たってー」
「うっそー」
「カラオケ行きたーい!」
久し振りに会う同級生達との恋愛話題がつきる筈もない。ドリンクバーで何時間もねばった結果、お店を出る頃は既に日は落ちていった。
「楽しかったねー」
「また夏休み集まろうね」
お店の前でパラパラと解散していく中、必然的に同じ方向の私とリキが一緒に帰る事となる。
「襲うなよー」
なんてマリの台詞に苦笑いを落とし、皆に大きく手を振って別れた。