涙とキスと隣の泣き虫



長い夏休みの殆どは、補習が入っていたから学校に通い詰めた。その後はマリや地元の友達と遊んだりした。
高校はじめての夏休みなんてあっという間に過ぎて、素敵な出会いも無ければ恋もはじまらない。何の刺激も無い新学期をむかえる事となった。



「あー、次は体育かぁ。急がなきゃな」

私の台詞は大きな溜め息と共に落とされる。


「ハナちゃんが、その、長いから」

「なにが?」

「……何でもない」

なんてリキは口にして下を向いてしまうから、私は優越感に浸って口元が自然と緩まる。

唯一、休み前と変わったのは、私に彼氏がいなくなった事。あとは、リキが泣いたらキスをする事の2つだけ。


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