涙とキスと隣の泣き虫
「また、ヤッてきたの?」
体育館の壁に寄りかかるマリは口元をニヤニヤと緩ませて、まるで噂話好きの近所のおばさん状態。
「まぁ、軽くね」
なんて台詞を小さな溜め息と共に吐いて、ジャージ姿のマリの隣へと腰を下ろす。
「アイも罪深いねぇ」
「何で?」
「だって、リキ。アイに恋しちゃってんじゃないの?」
「ないない」
「だって拒否はしないんでしょ?」
「しないね」
「好きじゃなかったら嫌がるでしょー」
そう言って、マリは男子がいる体育館内の向こう側に視線を向けた。