涙とキスと隣の泣き虫



「また、ヤッてきたの?」

体育館の壁に寄りかかるマリは口元をニヤニヤと緩ませて、まるで噂話好きの近所のおばさん状態。


「まぁ、軽くね」

なんて台詞を小さな溜め息と共に吐いて、ジャージ姿のマリの隣へと腰を下ろす。


「アイも罪深いねぇ」

「何で?」

「だって、リキ。アイに恋しちゃってんじゃないの?」

「ないない」

「だって拒否はしないんでしょ?」

「しないね」

「好きじゃなかったら嫌がるでしょー」

そう言って、マリは男子がいる体育館内の向こう側に視線を向けた。



< 58 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop