涙とキスと隣の泣き虫


男子の種目はバスケット。顔をむければ、コートにリキがいるのが視界に入る。
一生懸命ボールを追い掛けているものの、ボールにさえ触れていないリキが情けなくて、私から苦笑いが漏れた。





──リキが私を好き?



マリは私と同じで彼氏と別れたばかりで、恋愛話に飢えてるのかもしれないけど。


「アイー!出番ー」

「はーい」

クラスメートにコートから名前を呼ばれて、私は腰を上げる。
"つまんないのー"なんてマリの舌打ちが耳に入ったけど、面倒臭いから聞こえないふりをした。

マリは私とリキと中学校から一緒になったから、小学校時代のリキと私の上下関係を知らないから、そんな事が言えるんだ。



それにリキは──、



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