涙とキスと隣の泣き虫
なんでこのタイミングで。そう思ったところで、すぐに目の前のリキを肘でつつこうとするものの、リキの頬が赤い理由にすぐ気付いてしまった。
「えーと、深澤くんは突き指だっけ?」
「あ、はい」
「あなたは?」
「足をちょっと捻って…」
「靴下脱いで見せて」
「はい」
「ちょっと腫れてるわね、シップでいいかしら」
なんて、まだ若い保健の先生は私の足を診て手際よくシップと包帯を巻いてくれる。
「仲良いのね、2人揃って怪我なんて」
「そんな事ありません」
クスクスと先生は笑うけど、今の私にとって全く面白くなんて無い。
そんなやり取りをしている中、
「あの、先生。私そろそろ教室戻りますね」
あの女の先輩の声が聞こえてきた。