涙とキスと隣の泣き虫



座っているところしか見たこと無かったけど、予想以上に小さくて正直驚いた。
私の身長より軽く10cmは低いだろうか。


「大丈夫なのー?もう少し休んでっても」

「はい、大丈夫です」

こっちが知っているだけで先輩と知り合いな訳じゃないし、目の前で交わされる会話をただ黙って聞いているしか無いのだけど。
せっかく片思いの先輩が同じ保健室の中にいるのに、リキはチキンだから話しかける事なんて出来ない本当に駄目な男。

情けないなーなんて小さな溜め息が漏れる。




「どーも、こんにちは!!」

だから、にっこりとその先輩目掛けて声をあげた。


「こ、こんにちは」

先輩は戸惑いながらも挨拶をしてくれて


「あ、田所くんの彼女だよね」

要らぬ言葉を続けて口にする……。


< 62 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop