涙とキスと隣の泣き虫
夏休み明けてからリキと2人でピアノを聞きに来た事あった。
けど、先輩の弾くピアノは途切れ途切れの間違いだらけの音色で、正直 来週までに弾ける様になるなんて無理なレベルだった。
妹に弾いてあげたいなんて意味が分からないけど。タイムリミットが迫っているのに先輩は呑気に笑っていて、こっちが心配になってしまう位だ。
「ねぇ。そういえば、リキ小学校の頃ピアノやってたよね」
「やってたけど…」
「リキが教えてあげれば?」
「えッ?無理だよ!無理無理!」
なんて両手を横に振るリキは放っておいた。
「妹さんの誕生日。来週なんですよね」
ポカンとする先輩へと私は視線を向ける。
「え、でも…悪いよ」
「間に合いたいんですよね?」
「う、うん…」
先輩は頭を縦に動かすしかなかったんだと思う。