涙とキスと隣の泣き虫



高学年に上がった時、リキとウサギの世話係をした事があったっけ。


「あ、こいつだけ目が赤い」

小屋の掃除中に真っ白なウサギを抱え上げて気が付いた。


「お前みたいに泣き虫だから目が赤いんじゃねぇの?」

ケラケラと笑いながらリキに視線を向ければ、


「ハナちゃん、違うよ」

リキは私にびくびくしながら口を開いた。


「何が違うんだよ?」

「白ウサギはね色素が無いから瞳も…」

「色素ぉ?」

「ハナちゃんの髪の毛もちょっと色素が薄いから茶色いよね」

「……」

「だから、目の周りの血管が透けて見えて目が赤く見えるんだよ」

「血管が?それ痛くないのか?」

「だ、大丈夫じゃないかな」



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