涙とキスと隣の泣き虫
「アーイ。深澤くんの世話大変だね」
「せ、先輩!」
リキを追いかける為に、廊下を走っていた私は立ち止まる。
息を切らす私の前に現れたのは、学年が2つ上の田所先輩で、高校に入ってはじめて出来た私の彼氏。
彼は私より20cm背の高いすらりとした身長に整った顔立ちをしている。なんたって、優しくて落ち着いていて、大人で格好良い。
比べるつもりなんて無いけど、泣き虫リキとは大違いだ。
「アイ、髪の毛乱れてる」
そう言って、先輩は私の髪の毛にそっと触れる。
そのまま頭を撫でてニコリと微笑むから、私の体温は一気に上昇した。