涙とキスと隣の泣き虫
「えっと、ハナちゃん嘘付く時って首に手当てるよね……」
「は?」
「あれ?違った?」
「手なんて当ててないし」
「や、当ててるよ」
「当てていないってば!!」
「あの時だって……」
「あの時って?」
「た、田所先輩の……」
リキの瞳が戸惑うように大きく揺れて、
「なに?」
「田所先輩の時も、気にしないって言って首に手を……」
声が小さくなっていくのが分かった。
苛々する──。
なんでリキなんかに知ったように言われなきゃなんないのか。