涙とキスと隣の泣き虫
瞳からポロポロと溢れてくる涙は、機械的なんじゃないかって位に拭っても拭っても零れ落ちる。
今度は涙目で怯えるリキの腕を掴んでは、強引に歩き出した。
「……ハ、ハナちゃん?」
「……」
「ね、ねぇ。何処行くの?」
「……」
「ねぇったら?」
リキを引っ張って連れてきたのは、歩いてすぐ側の平屋で私の家だ。
「お、おじゃまします」
鞄から鍵を出して玄関のドアを開けて中に入る。
戸惑いながらもリキがしっかりと挨拶をするものだから、苛立つ気持ちとは裏腹に苦笑いが漏れた。