涙とキスと隣の泣き虫
入ってすぐ右の扉を開ければ自分自身の部屋が広がった。
「ハ、ハナちゃんの部屋久し振りだね」
リキとは昔からの付き合いだし。別に部屋にあげるのは初めてじゃないのだけど。
「あんた状況分かってんの?」
「……え?」
リキの腕を掴んだまま、手を力強く壁の方へ向ければ、リキは再び壁に頭をぶつける事になる。
「いッ、ハナちゃんさっきから何するんだよ」
「リキのクセに生意気だって言ってんの!!」
目に涙を溜めたままのリキに視線を落として、眉を潜める。
「ッ……、」
そのまま唇を塞ぐ様に無理矢理キスを落とせば、リキの瞳が不安で揺れるのが分かった。