涙とキスと隣の泣き虫
「リ、リキは……」
「ん?」
「泣き虫で誰かがフォローしてあげないといけないから、仕方無いんですよ!」
「面倒見がいーな、アイは」
先輩のこの爽やかな笑顔は、本当に私の癒しそのもの。
「でも、アイが深澤くんをいつも追いかけてるのは妬けるなぁー」
「せ、先輩……」
「俺の彼女なのにーって」
「……」
「顔赤いよ?」
「だって……」
先輩がそんな恥ずかしい事を口にするから、顔も上げられなくなる。
「ま、出会いも深澤くん絡みだったし。文句言えないのが辛いところだよね」
その言葉に先輩に視線を戻せば、眉を下げて少し困った様に口元を緩める先輩がいて。
「……!」
廊下だというのに軽いキスが落ちてくるから、心臓が飛び出るかと思った。