涙とキスと隣の泣き虫
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目の前には制服の乱れたリキが呆然と座り込んでいて。
「ま、練習だと思えばいーじゃん」
「……」
「先輩との練習」
後ろから耳に息を吹きかけたところでリキの反応は無いから。
「童貞じゃさまになんないでしょー」
なんて口元を緩ませてみせた。
ただ、リキはああいう行為がはじめてで。
「ぼ、僕……」
「文句なら聞かないよ?あんただって……」
「ハナちゃんが好き」
ただ戸惑っているだけ、そんなの明らかな筈なのに──。