涙とキスと隣の泣き虫
「……お邪魔してます」
「勝手に開けんなよ」
頭を下げて挨拶をするリキとは対称に、私は自分の母親をギラリと睨み付ける。
「うるっさいわねーー!!」
そんな私とは対称に母親は私に舌打ちをしてから、
「リキくん大きくなったねー」
にっこりと再びリキへ視線をうつした。
「そ、そうですか」
"あはは"なんてリキが頼り無く声を出す姿はぎこちない。
それもそうだ。話をしている相手の娘と、さっきまで如何わしい行為をしていたのだから。
「アイに泣かされてない?」
「は、はい」
「……」
理由を知っているだけにリキが顔に出てしまうんじゃないかって心配になる。