涙とキスと隣の泣き虫
「そ、うなのかな……」
「理想が高くなってんじゃない?」
「でも、それじゃいつになっても彼氏出来ないじゃん!」
「無理して作るもんじゃないでしょ!」
「確かにそうだけど、高校生だし彼氏がいた……」
"彼氏がいた方が楽しいじゃん!"的な言葉を続けようとしたところで、
「それか、本当は他に好きな人がいるとか」
半分呆れ顔のマリの台詞に一瞬思考が停止する。
私の頭に思い浮かんだのは──、誰だった?
「ち、違う!」
自分自身、何に対して苛々しているのか。
何が気に入らないのか。
目の前には眉間に眉間に皺を寄せたままのマリが首を傾げていた。
考えれば考える程、認めたくない答えに近付いく。