涙とキスと隣の泣き虫



「それだけで感動しちゃった」

「そう、ですか……」

「花本さんもありがとう」


あの時。旧校舎の音楽室でリキと先輩の姿を見たとき、地味で大人しそうな人だと思った。

話をするようになってからも、穏やかな反面鈍臭さも感じて、印象はたいして変わらなかったのに。




今日、はじめて──、


この先輩が可愛いと思った。


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