涙とキスと隣の泣き虫
「え?好きだけど、突然どうしたの?」
「昔、小学生の頃、クラスでウサギを飼ってたんです」
「……へぇ」
「あ、その時、私とリキは同じクラスだったんですけど」
自分でもよく分からないまま続けられる、突然始まった私の昔話なのに。
「う、うん」
先輩は戸惑いをみせながらも、生懸命相槌を打ってくれる。
「私、その頃、男の子とばっかり遊んでて、喧嘩とかもしてて」
今も、すぐに手がでちゃうときもあるけど。
「本当に男の子みたいで、その頃からリキと仲が良いという訳じゃなくて……」
途中でチャイムの音が聞こえたし、廊下には次の授業に急ぐ生徒の姿も見えた。
けど、先輩は気にすること無く私の話にゆっくりと耳を傾けてくれた。