涙とキスと隣の泣き虫
「ただ、からかったりしてただけなんですけどね」
「うん」
「リキとはウサギの係で一緒になってて結構可愛がってて」
「うん」
「飼ってたウサギが死んじゃった事を、担任の先生が話したとき──」
そうだ、思い出した──。
意地っ張りで強がりで、男勝りの私が涙を流す事なんて出来る筈が無かった。
"……ッ"
リキが泣き出してから、ポツリポツリとクラスの女子も泣き出して、中には涙ぐむ男子も何人かいたような気がする。
あの時、泣きそうで泣けない私の隣で泣いてくれたのがリキだったんだ。