ホームズの子孫はいつでも私を見つける

もうすぐフランスを出国してメキシコに行くと園子ちゃんは言っていた。私も一緒に行くつもりだ。園子ちゃんの隣以外、今は居場所はない。

日本に帰ろうかと思ったけど、心のどこかで期待してしまっているんだ。ホームズさんやワトソン先生が私を迎えに来てくれることを。だから、隣国のフランスでのんびりしている。

マカロンを買い、食べながら街を歩く。フランボワーズやバニラ、チョコレートなど可愛らしく甘くておいしいマカロンを口に入れた。

「おいしい……」

もうすぐ、このおいしいマカロンも食べられなくなる。メキシコはどんなご飯やスイーツがあるんだろう。そもそも、言語はスペイン語か……。勉強した方がいいよね。

そんなことを思いながら、街を散歩する。相変わらずおしゃれなパリジェンヌたちがのんびりと街を歩いていた。

「すみません、ちょっといいですか？」

英語で話しかけられ、私は振り返る。おしゃれな黒いコートを着た男性が立っていた。困ったように地図を手にしている。