私の知らない私の家族
「ああ、ごめんねサユ。これ、前にこの家に住んでた人のをずっとお兄ちゃんのだと勘違いして仕舞いこんでたみたい。今サユが開けるまでずっと中身確認してなかったのね…。…持ち主には悪いけど、処分しなきゃね。赤の他人の物だし。」

そう言ってお母さんは証書を筒の中に仕舞った。
私はなんとなくモヤモヤしたまま台所を出た。

…さっきのお母さん、何かおかしい…

明確な根拠は無いけど、直感的にそう思った。

前に住んでいた人のものだったとしても、あんなに真っ青になって取り上げるだろうか?
普通なら『誰だろ〜前の人かな?ま、捨てるか。』くらいのリアクションをするのでは無いか?

そんなことを考えながら自分の部屋へと階段を上っていると、ちょうど今下りてきたお兄ちゃんと会った。

「よ!サユ!ゲーセン行くけど行く?」

ーーーーーーーー
< 10 / 65 >

この作品をシェア

pagetop