私の知らない私の家族
「…え?」
何を言っているのか分からず戸惑いながらお兄ちゃんを見上げた。すると、お兄ちゃんは私を見下ろして笑っていた。しかしその笑顔は、今回の騒動前いつも私に向けられていた私の大好きな優しい笑顔ではなかった。お兄ちゃんのものとは思えないようなどこか不気味な笑み…。
「だからさぁ、兄妹愛ごっこは気が済んだか?って聞いてんだよ。全く理解力ねぇな。」
そう言いながらお兄ちゃんは自分から強引に私を引き剥がした。その衝動で私は椅子に尻餅をつくように座った。
「な…なに…?いきなりどうしちゃったの?ねえ、お兄ちゃん?!」
私は状況を理解できず、咄嗟に立ち上がりお兄ちゃんの両腕を掴み目を真っ直ぐに見つめて尋ねた。そんな私の様子をお兄ちゃんは冷めた目で見つめ、そしてフッと馬鹿にしたように笑った。
「あーあ、こんな俺の態度見てもまだ分からないとは…お前の中でどんだけ良い奴なんだよ俺。あ、ただ単にお前の脳味噌がお花畑なだけか?」
そう言って私の額を指でグイッと押しながら不敵な笑みを浮かべるお兄ちゃん。今までに見たことのないその表情に私は黙り込んでしまう。
…今までに見たことのない…?いや、違う。私は前にもお兄ちゃんのこの顔を見たことがある……。
そうだ。あの日…。
お兄ちゃんが元少年Aだと知れ渡ったあの日…。
リビングから出ていくお母さんとお父さんの背中を見つめながら、お兄ちゃんは確かに笑っていた。そう。まさにこの不敵な笑みを浮かべていたのだ。
何を言っているのか分からず戸惑いながらお兄ちゃんを見上げた。すると、お兄ちゃんは私を見下ろして笑っていた。しかしその笑顔は、今回の騒動前いつも私に向けられていた私の大好きな優しい笑顔ではなかった。お兄ちゃんのものとは思えないようなどこか不気味な笑み…。
「だからさぁ、兄妹愛ごっこは気が済んだか?って聞いてんだよ。全く理解力ねぇな。」
そう言いながらお兄ちゃんは自分から強引に私を引き剥がした。その衝動で私は椅子に尻餅をつくように座った。
「な…なに…?いきなりどうしちゃったの?ねえ、お兄ちゃん?!」
私は状況を理解できず、咄嗟に立ち上がりお兄ちゃんの両腕を掴み目を真っ直ぐに見つめて尋ねた。そんな私の様子をお兄ちゃんは冷めた目で見つめ、そしてフッと馬鹿にしたように笑った。
「あーあ、こんな俺の態度見てもまだ分からないとは…お前の中でどんだけ良い奴なんだよ俺。あ、ただ単にお前の脳味噌がお花畑なだけか?」
そう言って私の額を指でグイッと押しながら不敵な笑みを浮かべるお兄ちゃん。今までに見たことのないその表情に私は黙り込んでしまう。
…今までに見たことのない…?いや、違う。私は前にもお兄ちゃんのこの顔を見たことがある……。
そうだ。あの日…。
お兄ちゃんが元少年Aだと知れ渡ったあの日…。
リビングから出ていくお母さんとお父さんの背中を見つめながら、お兄ちゃんは確かに笑っていた。そう。まさにこの不敵な笑みを浮かべていたのだ。