私の知らない私の家族
「早速ですが咲夢さん。今日はお兄様のことを全て話してくださると仰ってましたが…本当によろしいんですか?」
丁寧に私を気遣ってくれる花山記者の目を、私は真っ直ぐ見つめた。
「大丈夫です。それから、『お兄様』じゃなくて『元少年A』です。あんな男…私のお兄ちゃんじゃない…」
あの男が嘲笑う顔を、声を、態度を思い出し、私は両手の拳をぎゅっと強く握りしめた。
「あんな男…ですか。詳しくお聞かせいただけますか?」
そして私は彼女にあの男の正体を全て暴露した。あの男が3人もの人を殺したのは歪んだ正義感が動機ではなく人を殺してみたいという自分勝手な欲望を満たす為だった事、人を殺す前から虫を解剖していたこと。そして、大人になった今でも全く更生していないということも。
「…花山記者。これは私があの男から直接突きつけられた事実です。包み隠さず記事にしてあの男に罰を与えてください…!」
少年法に守られたあの男を法律で裁けないなら、社会的制裁を下すしか選択肢は無い。私を助けてくれて、少年Aの妹である私の事は記事にしないと言ってくれた花山記者ならきっと素晴らしい記事であの男を罰してくれる。私は彼女に頭を下げながら頼んだ。
「咲夢さん…」
彼女の優しい声が私の名前を呼んだ。そして、
丁寧に私を気遣ってくれる花山記者の目を、私は真っ直ぐ見つめた。
「大丈夫です。それから、『お兄様』じゃなくて『元少年A』です。あんな男…私のお兄ちゃんじゃない…」
あの男が嘲笑う顔を、声を、態度を思い出し、私は両手の拳をぎゅっと強く握りしめた。
「あんな男…ですか。詳しくお聞かせいただけますか?」
そして私は彼女にあの男の正体を全て暴露した。あの男が3人もの人を殺したのは歪んだ正義感が動機ではなく人を殺してみたいという自分勝手な欲望を満たす為だった事、人を殺す前から虫を解剖していたこと。そして、大人になった今でも全く更生していないということも。
「…花山記者。これは私があの男から直接突きつけられた事実です。包み隠さず記事にしてあの男に罰を与えてください…!」
少年法に守られたあの男を法律で裁けないなら、社会的制裁を下すしか選択肢は無い。私を助けてくれて、少年Aの妹である私の事は記事にしないと言ってくれた花山記者ならきっと素晴らしい記事であの男を罰してくれる。私は彼女に頭を下げながら頼んだ。
「咲夢さん…」
彼女の優しい声が私の名前を呼んだ。そして、