その手を離さないで。
「今の七瀬のお兄ちゃん?」
机を運びながら、同じ班の男子が聞いてきた。
「七瀬のお兄ちゃんって城田先輩と仲良いよな。」
「なにいきなり。」
「俺、城田先輩を追いかけてここに来たんだよ。」
正直この男子とは初めて話す。名前も定かではない。美紀たちは同じ班ではないし、他に話す女子たちもいないのでここら辺で話を切り上げたいところだ。
私は適当に相槌を打ち、また次の机を運んだ。
「七瀬も城田先輩と仲良いの?」
「仲良いって言うか、、、兄の友達なので。」
「いいよな、兄貴。俺一人っ子だからさ。」
なんなんだこの人は。飽きもせずペラペラ喋っていて。これが赤木葵に対する私の第一印象だった。