俺と先輩。
別の日、俺はまた塾にゲームをしに行った。

もちろん、先輩に会うため。

そういえば先輩は何時まで残ってるのだろう。

先輩と帰る方向が同じなのは既に知っている。

待っていれば、一緒に帰れるのでは?

……いやいやいや、無理か。笑

なんて思いながらちゃっかり最後まで残ってしまった。

時間は22時20分。

もう先生たちもみんな帰るらしい。

俺を含め、先生方も全員鍵を閉めて外に出た。

「湊くん!帰ろ!」

え、え、え、え、え、え、え、え、え、え、(2回目)

幻聴??

もちろん帰りますよ。

菜乃先輩が、あの菜乃先輩が俺の隣を歩いてる。

菜乃先輩は女にしては背が高い方。

でも、俺の方が少し高い。

傍から見たらカップル同然だ。

こんな幸せなことあっていいのか。

俺の家の前で23時になるまで立ち話もしてくれた。

先輩は元々面白い人で有名だった。

本当に噂通り面白くて、ずっと笑ってた。

この時間が永遠に続けばいいのに。

菜乃先輩の隣を一緒に歩くのが俺だけになればいいのに。

この笑顔を見るのも、俺だけになればいいのに。

あーーー、俺、独占欲つよ。こんな強かったっけ?笑

でもそんだけ好きだし怖いんだよ。

菜乃先輩の良さに気づく人が出てきてしまったら。

こうして笑っている相手が変わってしまうのでないか。

菜乃先輩の口癖は「今日の夜も暇だ〜〜」。

だから俺は言った。

「今日の夜なら構ってあげますよ。電話しますね。」
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