人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
「さぁ着いたよ!降りて」
いつの間にか目的地に着いていたらしい。
車から降りて彼に着いて行くと廃墟の工場みたいな建物に入っていく。
その中にはなんとも頭がカラフルで目つきの悪いお兄さんたちがこっちを見て彼に頭を下げたあとあたしにはガンを飛ばしてきた。
すごく身の危険を感じる。
リンチされるのか、それは怖すぎる。
投げ飛ばしただけでこんな無関係な人たちにリンチされるとかありえない。
いや、もしかして昔投げ飛ばしたことがあるやつらだからリンチされるのか?
見知った顔は無いけど覚えてないだけかもしれない。
あたしは頭を抱えた。
「あたしのばか!なんてことを!」
「わっ、びっくりした、いきなりどうしたの?」
余裕そうに少し先を歩いていたがびっくりして困惑した表情であたしを振り返る。
「あたしに恨みを晴らそう会を結成したのはわかります!けどこんな痛い気な女子高校生を大勢でリンチは良く無いと思います!えぇ!とてもよくない!」
「まって、落ち着こうか。」
「せめて、せめてどうか!一対一のタイマンにしてください!!」
「タイマンならいいのね。」
あたしに軽くツッコミをいれて彼はまた余裕を取り戻し歩き出す。
そしてある部屋のまで止まった。
2階へ上がり、1つ目の部屋を通り過ぎ突き当りのところにある扉の前に立ち彼はスッと開けた。
「シン、連れてきたよ。」
そこに居たのは先ほどあたしが投げ飛ばした
金髪の悪魔がいた。
「さぁ入ってー。」
そう言ってカカオブラウンの彼がズレてあたしが中に入れるようにいつも座っているかのように定位置ぽいところに迷いなく座りに行った。
彼があたしの前からいなくなり部屋がよく見えるようになると目の前のソファに金髪の悪魔が、あたしから左の3人掛けのソファにふてぶてしそうに寝転ぶ金髪の目つきがこの中でも1番悪い男と、長いテーブルを挟んであたしから見た右側に銀髪の目がクリクリで青い瞳の女のあたしより可愛すぎる少年がいた。
「…春山千晃、2週間ここにいろ。」
「え?はっ?」
観察する中いきなり目の前の金髪がわけのわからないことを言い始めた。
「もうシン、そんな単語だけ話しても伝わらないでしょー?ごめんね、千晃ちゃん」
カカオブラウンの彼が眉を少し下げ謝る。
「いえ、あのどういうことですか?」
あたしが問いかけると少し困ったように彼は笑う。