人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
しばらく考えてようやく白田が口を開く
「マミ、アミ、お前らはもう集会には来るな。今日は先帰ってろ。細かい話は帰った後にする。」
白田に言われた瞬間、二人の顔が青ざめていく
「これでいいだろう?」
白田は慎の方を向いて確認を取る
「あぁ。」
マミと金髪の姐さんはさっきまでの勢いはなくなりシュンとして帰っていった。
「姫さんよぉ、悪かったな。ウチのやつらが迷惑かけた。」
「いえ、あたしは別に。」
白田があたしに向かって謝ってきたけどさらっと流す。別にあたしに対してあの二人が何かをしてきたわけではないから
「白龍の姫さんも悪かったな。」
麻奈美をちらっと見ると複雑そうな顔をしながらもペコッと頭を下げるだけで返した。
そこで急に喋り出したのは黒崎だった。
「てかさ、もう話の大まかなことは決まったしお開きでいいよね?」
どうやらあたしたちが揉めてる間に何かが決まったらしい。それに対して答えたのは敦先輩だった。
「あぁ。もう口頭で言うべき事の確認はしたからあとはデータを各諜報員に送っておくから解散しようか。慎、それでいいよね?」
「あぁ。」
敦先輩の質問に相も変わらずぶっきらぼうに応えた慎はあたしの腕を引いてさっき座ってた場所まで移動してあたしを強制的に座らせる。
「じゃあ、自分たちもこれで。」
そう言って鳥居と黒崎は立ち上がり帰っていった。
…なんだか、不穏な空気が若干まだ漂ってる気がした
なんとなくだけど幼い頃から無駄に人の顔色を伺ってくる生活だったからこそ微妙な変化に気づいてしまう…
…これが気のせいだったらいいのに。
そう思いながら去っていく二人の背中を見ていた。
白田も立ち上がり、慎に目線だけ向けて去っていった。
そうやらこれで集会はお開きになりそうだ