人魚の涙〜マーメイド・ティア〜



「ん~、おはよ、蓮…ってあれ、まだいねぇのか。」



といってももう時間はお昼近く。昼飯一緒に食おうと思って来たのにいねぇーのかよ。


まぁ、今日は俺が寝坊したからどっかの教室で寝てんのかもな。春先でも屋上はまだ冷えるし。


そう思いそのへんの授業で使われていない部屋を見て回るけど蓮の姿は見当たらなかった


さては、あいつも寝坊か?と思い一応メールは送っておく


ま、そのうち返信来るだろうと思い自分の教室に戻り机で寝た


それでも蓮からの連絡はこの日一切なく放課後を迎えた。


もしかして街で喧嘩でも売られてやばい状況になってんじゃないだろうか。



…でも蓮の喧嘩の強さはこの辺のレベルは誰も勝てっこない



となると、もしかして昨日話した隣町に一人で行ったんじゃ…


…ありえる。あいつなら一人で先走って行ってそうだな。


とりあえず隣町に行くまでの道にまだいるかも知んねぇから行ってみるか…


なんだろ、この胸騒ぎは。別になんもねぇーと思うけど。


俺はさっさと教室を出て街へ向かった。



街を探し回ってもいねぇな。いつものゲーセンも空き地もどこにも蓮の姿は見当たらない。



ホントあいつどこ行ったんだよ。


隣町までの道を歩いてもまだ見つからない



あいつほんとに一人で隣町まで勝負挑みに行きやがったのか…



「おい、早見ー。」



突然声をかけられて後ろを振り向くとそこにはこの前俺たちに喧嘩を売ってきたやつが何か楽しそうに笑ってたっていた。



「何そんなに慌ててんだよぉ」



ニヤニヤしながら馴れ馴れしく話かけてくる



「なんなのー。今お前みたいな雑魚に構ってる時間ないんだけど~。」



そのニヤケ顔がどうしても気になってこいつに構ってる暇なんか無いのに動けない



「お前こそそんなに急いで雨宮でも探してんのか?」



さらにニヤニヤ顔をして蓮の名前を出す



「…お前なんか知ってんのか?」


「おー、怖い怖い。俺にそんな顔すんなよ。」



あー、すげぇイライラする



「勿体ぶらねぇーでなんか知ってるなら今すぐ話せ。そしたらお前を逃がしてやんよ。」



俺のなかの胸騒ぎがこいつのニヤケ顔でさらに増幅する



「何カリカリしてんだよ。」



もう我慢できなくてこいつを地面に叩きつけるように思いっきりぶん殴る



「おい、早く言えよ!!!」



ブチギレの俺にビビったのかさっきの余裕の笑みも消え、吠える



「三番地の空き地だよ!!でももう言っても虫の息だぞ!」



何かがブチッと切れてそいつの顔を思いっきり踏み潰した。


とても不愉快な音がした



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