人魚の涙〜マーメイド・ティア〜



「帰るぞ。」



コンビニ行ってから1時間が経った頃時刻は19時を回っていた。


慎がすくっと立って唐突に帰る宣言をした。



「なにしてんだよ、ブス。お前が帰るんだよ」



蓮がボケっと見てる私にチョップをかまし、荷物を投げてよこした。


あれ、あたしの荷物いつの間に!?



「ここに来る前に持ってきてたんだ、念のために」



…念のため、ですか。



本気であたしを逃すつもりなかったんだなってジト目で先輩を見るとそよ風が吹いてるんじゃないかと思うくらい涼しい顔をされた。



「送ってく。」



今度はちゃんとあたしの目を見て言う慎に頷き返して立ち上がる。


結局あれから波瑠には会わないままだけど



「千晃ちゃんまた明日ね」


ヒラヒラと手を振る敦先輩


「んぁ?あれ、千晃もう帰んのか!そっか!じゃあな!」


漫画読んでて疲れたのかいつの間にか寝てた奏太


「さっさと帰れブス」


チラッとこっちに視線だけ返す蓮


でもあたしにはそれがちょっぴり嬉しくて少しだけ幸せでニヤけてしまう。


ここに来た時は誰も見向きもしなかったのに数時間で帰りはちゃんと見てくれるそれがなんだかすごく嬉しかったのだ


「また明日ね!」


そういうあたしの後ろでみんなが赤面してるなんていざ知らず部屋を後にした。


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