人魚の涙〜マーメイド・ティア〜


倉庫まで無事につき、敦先輩と他愛もない話をしていると突然携帯の着信音が鳴り響く



「ごめん、俺だ。ちょっと出るね」



あたしは手だけでどうぞどうぞと素振りをする



「もしもし、どうしたの?…また?場所は…はぁ、わかった3分で行くから何とかしといて」



電話の相手は誰だろ?話し方からして気が知れてる仲ぽいけど



「ごめん、ちょっと慎たち迎えに行ってくるからここで待っててくれる?」



敦先輩はさっと立ち上がりなにやらスマホに打ちこんでいるが全く手元を見ず、あたしを見ながら話すもんだから器用なもんだと感心してしまう


じゃなくて。



「いいですよ、ここでお留守番してればいいんですよね?」


「ふふ、そうお留守番お願いね」



なぜか笑う敦先輩がついでにあたしの頭をポンポンと撫でて出て行く


あー、これあれでしょ、今時の女の子がときめいちゃうやつ、頭ポン!


と思いつつ敦先輩の背中を見送った


下の子達に相も変わらずジロジロ見られながら上に上がって昨日の部屋に入って座る
部屋には誰もいなかった


「暇だぁ…」


あたしここに来てから暇だとしか呟いてない気がする


まぁ今はどうしようもないんだけど
敦先輩はどうやら“慎たち”を迎えに行ったみたいだから待ってればみんな来るのだろう


そう思ってもう30分もすぎた


行くのに3分くらいって行ってたのに帰って来るのに30分もすぎてるってどういうこと?
なんかトラブルでもあったのかな?


考えるだけで頭が疲れてしまったあたしは昨日買ったプリンを思い出した



「食べるか」



よっこらせ!とおっさんみたいな掛け声が思わず出てしまうけど最近のJKなんてそんなもんだ



…あたしだけかもしれんが



「プリンっ♪プッリン♪」



いい感じに冷えているプリンを見るとさらに食べたい欲が抑えきれなくなった



「いっただっきまーす!!」



ー…ガチャ



「あ」
「え」


「チッ」


顔見た瞬間舌打ちですかーい。


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