人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
ーピリリリリッ、ピリリリリッ
ガッチャン
「あー、全然寝れなかった」
瞼を開けて目覚ましを止める
瞼は閉じてはいたけど全然寝付けなかった
「今日いれてあと2日か」
あのバカ達と一緒にいれる時間もあと少しなのに、昨日の慎の言葉を思い出す
『…俺たちと一緒にいろ』
どうすればいい?
あたしはどうしたい?望んでいいの?
「だぁぁー!もうわかんないよ!」
髪の毛をかき乱し、フゥとため息が出る
あたしには多分時間がない
ずっと一緒に居られるほどの時間が。
麻奈実に相談してみようかな
うん、そうしよう
もうすぐ敦先輩が迎えに来るはずだからとりあえず準備しなきゃと思い、寝てないせいか重たい体を起き上がられせて支度にかかった
玄関を出て鍵をかけてポストの中身を確認して…
「あれ?なんで!?」
「よっ!」
いつも通りの朝なのに今日は違った
敦先輩が乗ってるはずの車はなく、そこに居たのはバイクにもたれかかった奏太だった
「おはよう、奏太!今日は敦先輩じゃないんだね?」
奏太はなぜか困ったように笑った
「…今日は代わってもらったんだよ、迎えに行くの」
「ん?どういうこと?」
代わってもらった?
どういうことだろう、意図がわからない
「あんたに俺から話があるんだわ~」
…あんた?
ー…ダンッ!!!
「やっぱり反射神経はいいんだな、ムカつく~」
あたしは何が起こったのか全く理解できなかった
ただ、わかるのはあたしの目の前にいるこの人は
「…だれ」
奏太のはずなのに、奏太じゃない
あたしはこんな人知らない
いつもと雰囲気も話し方も全く違う…あなたは誰?