人魚の涙〜マーメイド・ティア〜



「あ!それ今あたしが取ろうとしたアイテム!横取りするんじゃないわよ!このクソガキー!」


「誰がクソガキだ!てめぇがちゃんと拾わねぇから悪いんだろ!」


「キーッ!ムカつく!ほんとムカつく!」



奏太とあたしとの勝負だったのにいつの間にか蓮が入ってきて3人で勝負していた



「よっしゃー!俺と蓮の勝ちっ!これで千晃は0勝6敗目だな!手抜いてやろうか?ん?」



こんにゃろう



「バカにすんじゃないわよ!もう一回!」



我ながらガキだと思うけど、この猫かぶり奏太には負けたくないのだ。


なんで負けたくないのかは分かんないけど
とにかく負けたくない



「勝負はいいけど、お腹空かない?」



パソコンで作業が終わったのか敦先輩があたしたちに声をかける



「確かにお腹すきました」
「すいたっ!」
「あぁ、腹減った」



あたし、奏太、蓮と一緒にそれぞれの返事の仕方をする


それを見てクスクスと笑う敦先輩


あたしたちの返事を聞くと雑誌を読んでいた慎が立ち上がり一瞥すると一言



「行くぞ」



いや、どこに?そんなドヤ顔で行くよと言われましても。


どこに行くのか分かってないのはあたしだけみたいでみんなそそくさと準備をして出て行く



「千晃も行くんだよ!ほら立って」



波瑠が敦先輩に呼ばれたのか寝室からぴょこぴょこと出て来てあたしの腕を引っ張る



「あわわ、待ってどこ行くの?」



ズルズルと引っ張られながら倉庫の外に行くと8人乗れるバンが停まっていてすでに助手席に敦先輩、後頭部に慎と蓮が対称に座り、そこを通ってさらに後ろに奏太が座っている



「ご飯食べに行くんだよ!みんなで!」



波瑠が嬉しそうにこっちを振り返るが、あたし的には不思議なことだらけだ


今まで土日でもどこも出かけなかったのになんで今日?


そんなことを考えている間にグイグイと奥に押されて奏太の隣にあたしが座り、奏太と反対隣に波瑠が座る



「じゃあいつもの店までお願いね。」



いつもの店?


あたしの疑問もいざ知らず
敦先輩の号令で車は発進し始めた


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