人魚の涙〜マーメイド・ティア〜


ジュージュー



なんでだろう



ジュジュー



いや、まぁいいんだけど



ジュージュー



「せいやっ!」



ベショッ



「成功したよ!見て見て千晃ー!俺もっとたくさん焼くぞ!」


「う、うん。よかったね」



波瑠の呼びかけに苦笑いを返すしかできなかったが正直もうお腹に入らない


キツすぎる。メニューが。変すぎる。


ラーメン屋さんなのになんで鉄板があるわけ?
ラーメン食べた後にお好み焼きを焼き始めて枚数ももう5枚目で


絶対おかしい、こいつらの胃袋どうなってんの?
え?てかツッコミどころたくさんあるんだけどどうしたらいいの。あたしには全くわからない



「はい、お水。千晃ちゃんもうお腹いっぱい?」



スマートにお水を差し出す敦先輩はあたしが限界なのにもお気づきで



「はい、ちょっともうキツイ…」



ギブだとアピールする


何がどうなったかというと、あれから車で移動すること20分


かなり人気のないラーメン屋さんに着いて中に入ってもあたしたちしかいなかった



「おぉ、なんだお前らか。」



あたしたちが入ったことに気がついた店主さんらしき人が奥から出てきて慎たちのことを確認するとめんどくさそうな顔をする



「翔さん、いつもお世話になってます。今日は一人前追加でお願いします」



敦先輩がにっこり笑ってめんどくさそうな翔さんと呼ばれた店主さんの前にあたしをずいっと出す


一人前追加ってあたしのことか



「へぇ。こりゃ珍しい客だな。お前らもとうとう作る気になったのか?」


「えぇ、返事はまだ出すけど周りには働きかけてます」


「そうか、いい返事がもらえるといいな」



あたしを挟んで謎の会話が飛び交う



「嬢ちゃん、何食う?」


「え、えっと味噌ラーメンで」



突然話しかけられたので慌てて上のメニューを見て決めたものを告げる



「へいよー」



そう言って翔さんはまた奥に引っ込んだ


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