人魚の涙〜マーメイド・ティア〜


あたしは次々出てきたみんなの前に並べられたご飯に愕然とする



「そんなご飯一体どこから…?」



慎の前にはサバの味噌煮がメインの和食
敦先輩の前にはパスタ
蓮はあたしと同じ味噌ラーメン
波瑠の前にはデミグラスソースのオムライス
奏太にはコーヒー



待って、あたしの頭がついていかない



「ここってラーメン屋さん、じゃないの?」


「千晃、お前こっから地獄だぞ?」



奏太はお気の毒そうに言ってコーヒーを味わっていた


どういう意味?



「早く食え」



奏多を凝視していると隣にいる慎に諭されて食べ始める


味はなかなか美味しい。
客がいないからてっきりそれなりの味かと思っていたが普通に美味しい


失礼だけど。



「はいよー、お待たせ。いつものね」



みんなが食べ終わる頃再び翔さんが持ってきたものは小さなボールにエビやホタテ、明太子に…と色々種類が入ったいわばお好み焼きのタネを持ってきた



「よっしゃー!焼くか!」



蓮がはりきって言い出し、具材をかき混ぜて、焼いてそれを波瑠と蓮が引っくり返す…


そうして今に至るわけだけど


ほんとに無理、奏太の言ってた意味が今になってわかった



「これっていつもこうなの?まさかフルコース?」



ギブすぎて気持ち悪くすらなってきた



「いつもこれ食べた後にもう一品出てくるんだけど今日はたまたまお好み焼きだっただけだよ」



敦先輩は爽やかな笑顔でえげつないことを言う



「な、言ったろ~?この人たちの胃袋絶対おかしいから。」



奏太の言葉にあたしも頷く



「これで太らないのも意味わからないし、男の子ってすごいね」



慎をチラッと見ると苦しい表情1つせずパクパクと食べている


あたしの視線に気がついて慎がこっちを見て少し笑う



「頑張った方だ」



ポンと頭を撫でて、あたしのお皿を掻っ攫っていく


あ、食べてくれるんだ。ありがたい



「ありがとう」


「ん」



5枚目で終了らしく、みんなペロリと食べ終わっていた
まぁ、女子になんて量を食べさせてるんだって話だけどね


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